屋根
屋根に登って遠くを見つめる
昔々の思い出だけど
屋根に登って遠くを見つめる
忘れたい思い出なんてそうそう無いよ
忘れた思い出は思い出せない
空に少しでも近付きたい
青くても赤くても黒くても
雨に当たるのもけして嫌いではないから
気は持ちようだって言うから
ずっと前向きで生きてみたいんだ
そんな馬鹿みたいな事
言ったら消えて無くなる
屋根に登って遠くを見つめる
近くの物は見えなくなって
見たくない物に蓋をする
屋根に登って遠くを見つめる
馬鹿と煙は高いところが好きだとか言わないで
孤独が好きなのは格好付けだとか
少し自分に自信を取り戻したい
つかめそうでつかめない
屋根の上でも手が届かない
何を目指すのかも分からないのに
地上では不安がとぐろを巻くよ
ここは唯一現実から離れられるところ
夕焼け
夕方六時前には空が染まる。今は九月の頭。もう夏も終わるから日が短くて、それで随分と速く夜が来るようになった。僕はそれをぼーっと眺めるのが好きだったりする、からかわれるから人に言った事は無いけど。仕事の速く片付いた日には会社の窓からそれを眺めている。今日はひさびさの晴れと仕事の好調が重なって夕日が見れた。コーヒーが一杯着くとなお嬉しい。ただ、湯気で眼鏡が曇ったりする。
僕は夕日の色に染まっていく。僕だけじゃない。町中が染まっていく。この小さな田舎の町の、あんまり多くはないビルの上がみんな橙に反射して光って、まぶしい。遠くの民家の窓ガラスに反射した光もまぶしい。西へ向かう国道を走る自動車の屋根も光を反射する。そしてそのうち全てが同じ色に染まり、僕は居なくなる。
そのまま少しの時間が過ぎ、それが僕には一瞬にも永遠にも感じられ、僕はもう一度僕の色を取り戻し、それぞれが別の色を映す様になり、そしてとうとう陽が沈む。夜が来るのだ。でも、まだ西の山には夕日の残照が残っているのだ。
欲望
最近一つのロックバンドの楽曲にはまった。なぜ彼らの曲がこんなにも強く私を脅かすのか。答えはこれだ。欲望。こんなにもストレートに欲望をぶつけることが出来るなんて。素直に、一切隠すこと無く欲望が描かれている。私はそこに憧れを抱くのだ。
私は謙虚に生きたいわけでも、自己主張をしないで生きたいわけでもない。ただ自分に不正直な人間であるというだけの事なのだ。