詳説変換・思考回路 か行

カフェ

 コーヒーの力に魅了されてしまった。コーヒーは手入れに限る。それは入れた人によって全然味が違ってくる。優しさだとか、誇りだとか、時には孤独までもが伝わってくる。
注がれたコーヒーは暖かくて、口に入れると寒さに凍えた体を溶かす。そしてなぜか、あの匂いでお腹が空いてくる。チョコレートを食べたりなんかしたくなる。そして一緒にコーヒーを飲んでいる人の笑顔を見る。自分の笑顔は相手にしか見えない。それでも自分でその笑みに気がついてしまう。
カフェインで目が覚めるはずなのに、その幸せで心がゆるみすぎて眠くなってしまう。一杯のコーヒーに沢山の物が溶かされていく。




 自転車を飛ばしていく。長く一直線な道を北上していく。目的地はいつも同じ。仕事場だ。仕事中は毎日笑顔で居なければならない、それは仕事が接客業だから。そして帰りに一人涙する。どうして笑顔を作ることがこんなにもしんどいのか。自分が嫌いになる。そしていつもの展開だ。
 本当は緊張しているのに緊張していないと思われる悲しみをあなたは理解できるだろうか?自分では普通にしているつもりなのに、違うと言われてしまう苦痛をあなたは理解できるだろうか?多分自分は人と違うんだと思いながら出来るだけはみ出ないように生きていく苦痛をあなたは理解できるだろうか?いや、理解して欲しい何て言わない。ただそのまま受け止めて貰えればそれで良い。話を聞いてうなずいてくれればそれで良い。そう思いながらも違う言葉が口から出る。
 北上しながら昨日の夜の事を考えている。何も求めていないなんて事は絶対に無い。それはどうか理解して欲しい。自転車の速度で風が顔に当たって冷たい。目にゴミが入って痛い。目よりも昨日打たれた言葉の方が痛い。それでも笑顔で走らないと。目をつぶりながら自転車で北上する。




 いやぁ、中学生の時は、どうも鎖とか使うと詩でも漫画のイラストでも格好良くなると信じていた時期が有ったな。何か多分自由になろうとしていたんだな。今では有る程度自由に生きてしまっているし、まぁそれは親の金で生きているんだからやっぱり有る程度、なんだけど、それでも得に何かから逃れたいとは思わないから鎖は自分の中の何をも表さなくなったな。
 今鎖っていうと、現実的なところでは駐輪所に張ってあって暗くなると引っかかってしょっちゅう転ぶあれかな。妄想で言うとSMとか?しかしまぁ、中学生からそんなに大人になったって訳じゃないのに随分と駄目な大人に成長してしまったもんだ。あの頃は阿呆全盛期だったし、ガキだったんだな。
 でも多分、またもっと時が経ってからこの文章を見て、本当に大人って言える位の年になって、それでまた酷い大人になってしまったなって思うんだろうな。あのころはまだ子どもだったって思う様になるんだろうな。


毛皮

毛皮をしょったねこ 短い毛皮のいぬに出会う
毛皮をしょったねこ ふわふわの毛皮
短い毛皮のいぬ つるつるの毛皮
でもお腹には 毛皮がないの

毛皮をしょったねこ いぬの事が寒そうで
ずっと世話焼き うろちょろうろちょろ
いつしかいぬが好きだった

どこへ行ってねこがついて来る
つれないいぬについて来る
短い毛皮のいぬもいつしか 当たり前と思っていた

毛皮をしょったねこと短い毛皮のいぬ 一緒に年を取る
くっついて並ぶ ひなたぼっこ
干した手の布団のにおい

暖かい毛皮 ふさふさとつるつる
幸せのあらわれ しっぽがゆらゆら


交換日記

○月×日
 今日、電話したのに出なかったでしょう?私、ずっと約束守って昨日まで電話するの我慢してたのに。明日会ったらずっと言おうと思ってた事を言おうと思う。

○月△日
 おれ、久々に会えると思って授業遅刻しないでちゃんと行ったのに来て無くてがっくしきちゃったよ。ま、普段遅刻しまくってるおれが言ってもしょうがない事だけどさ…。

…………
…□月☆日
 私、昨日の凄く嫌だったの。でも言っても困ると思って何も言えなかったの。言った方が良かったのかそれともここにも書かないでずっと黙ってた方が良かったのか分からないわ。だって、いっつも何も言ってくれないんだもん。

まぁ、互いを批難するだけならばそれは被害届でしか無い。


戻る 次へ
小説トップ