詳説変換・思考回路 は行

はにかみ

嬉しそうに振り返る彼女の横顔を見つめる僕のはにかみ。
怒っている顔を見て、なぜ僕が照れるのかは謎だ。
明日は雨が上がると良い。もう寒いのはこりごりだ。
けれど、寒い外出から帰り暖かさで赤く染まる彼女の顔を見つめる。
何が嬉しいのかなんけ彼女に言うことは出来ない。

求めていたものが手に入らなかった時に見せる彼のはにかみ。
悔しさを素直に表せない、彼のにせものの表情。
平静を装いながら微笑むその姿は光に透けて、今にも消えてしまいそう。
少しずつ後悔と嫉妬に変わっていく彼の心が照らされる。
そんな決して綺麗だなどとは言ってはいけない感情が、浄化される。

 夢はもろく崩れ去る。美しい物はどれも儚く、いつか崩れ去る。人の心もそうだ。
けれど本当は、儚いから美しいものらしい。一昨日、桜が咲いた。今年の冬は寒かった上に長かったから、ようやくの開花だ。そして今日の雨で明日には散ってしまうだろう。桜と言えば儚いからこそ美しい物の代名詞だ。
人の心も儚い。そして更に移ろいやすい。それなのに人間は美しいけれど壊れない物を求める性質がある。これは矛盾しているにも関わらず、誰も気付かずに美しくて壊れない物を求め続ける。 けれどその儚さにもかかわらず、人の心は時にとても強い力を発揮する事が有るのだ。内に秘めている物は計り知れない。そんな力を押さえ込もうとする時、人ははにかむ様に感じる。


被害届

 ノートの始めに書いてあった。
「どうしてこうなってしまったのか思いつく限りの原因を書いてください。それが今、僕達がこうなってしまった事の始まりだと思うから。」

 いくらかページをめくるとこう書いてあった。
「あの時花火見ながらA君があんな事言うから。あたし、それで怒ってたの。」

 更にページをまくるとこう書いてあった。
「Bが僕の腕を放さなくて、その力に本当のところかなりびっくりしてた。でも、そんな意外なところが凄く良いなと思った。」
 まだまだノートは続いていた。
「うーん、あたしはあの時Aに色々言われて凄く哀しかったけど、でもショックを受けるってのはそれだけAの事思ってたんだなって自分で思ったの。」

 最後の最後に書いてあった。裏表紙にだ。
「互いに何が有ったのかって被害届けだけど、でもこれって交換ノートよね。」


ふとん

 ふとんの中が好き。暖かくて、自分のにおいがする。朝はいつまでたっても出たくない。まぁ、出られないんだけど。
 夜はふとんを頭までかぶって寝るのが好き。多分、私の卵みたいな物だと思う。胎内回帰願望かしら。そこは誰にも踏み込めない空間。そして夢を見る。夢はどこから来るんだろう。本当に私の頭の中に夢が入っているのかしら。自分でも知らない間に沢山の話を作っている。いざ書こうとするといつも上手く話が作れないのに。
 朝起きてから、ふとんの中に居るのが好き。すこし贅沢な気分になれるから。現実を少し遠くへ押しやれる気がする。でももう起きなくちゃ。この暖かさを身にまとったまま、美味しいコーヒーを入れて飲もう。一日が幸せになるはずだから。


変化

変わっていくもの 自分以外の全て
変わらないもの 駄目なところ
同じ失敗を繰り返す 昨日も今日も

焦らなければ大丈夫
でもそれじゃついていけないから
いつも自分の調子でいられれば
もっと前向きでいられるかもしれない
仮定だけの話

受け止めなくちゃ 色んなものが変わっていく
認めてあげなくちゃ それが答えだって
見て見ぬふりとは言わないで

混乱する
変化するよりも手前で止まったままだ


本心

 本当のところ、私には凄くやりたいことがあるのです。凄く文章を書きたいのです。パソコンが気になってしまった今、その当時と同じレベルで同じ様な文章が書けるかと言われれば分かりません。しかし、どうしても文章が書きたくて仕方がないのです。
 何かこの世界において出てきてはいけない物が大量に私の頭から、口を通して出てきてしまうのです。それを押し込めることは出来ない。だから今、それを文章というはけ口を通してはき出してしまいたいのです。そうしなければ私はどんどんとおかしくなっていってしまうのです、私の言動が。
 昔は研究者になりたかった。しかし途中で文章を書くことに楽しみを見いだし、一度は作家になることも夢見ました。しかし進学し、大学での生活にもまれながら、夢は何もなくなりました。そんな中、私は壊れていきました。やはり文章を書くことは必要だったと気付いたのです。それは誰が理解できる物では無いかも知れません。それでも私は誰かに伝えなければならないのです。そうしなければ私の言葉は、私の思想を、感情を、空想を表すための言葉は、全て私の頭の中にあるだけでその役目を果たすことが出来ない。しかし一度作られてしまった言葉は発しなければならない。
 だから私は、もう一度文章を書きたいと思うのです。凄く文章を書きたいと思うのです。続けることが出来るかどうかも分かりません。しかし私はこれからも何度でも、文章を書きたいと思うことでしょう。


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